ちなみに自分が見てきた上映館では200人くらい入る劇場に自分含めて14人しかいませんでした。いくら平日の夕方とはいえ公開初日でコレは大丈夫なのか…?
では感想へ。
まず、全体的な感想としては
「アイドルアニメ舐めんのもいい加減にしろよクソ」です。
これは複数の要因が絡みあった結果なので、まずは良かった点と悪かった点について順に述べてその上でまとめたいと思いますのでお付き合いください。
・良かった点
(1)楽曲
これは今回公開前からスタッフの面子を見て期待していたのですが、バッチリでした。劇伴自体も良かったのですが、最後にライブシーンで流れた彼女たちの曲の出来も。
この調子でアニメ本編でも曲が増えてくれると考えるとなかなか楽しみです。
(2)背景美術
聖地巡礼アニメとして公開前からある程度推していることもあってか、背景美術は本当にしっかりしていました。
仙台は私も昨年秋に行ったのですが、その時に見た風景もちょこちょこ現れて「おお、ここはあの商店街か」のような形で嬉しくなりましたね。
(3)演技
これは良かった点、というよりは悪くなかった点、に近いですが。
メインキャストは皆新人ということでしたが、その割には個人差はあれど比較的演技ができていたように思います。少なくともAKB0048の序盤よりはずっと良かったと自信を持って言い切ることが出来ますね。
もちろん演技自体がいいか、と言われると「まあ新人だしこんなものよね」の範疇ではあるので今後の成長には期待したいところです。
良かった点はこの辺りです。特に演技についてはぶっちゃけ期待していなかっただけに「おうおう思ったより悪くないじゃん」と意外、と言ってもいい印象を受けました。
・悪かった点
(1)作画
全編通してちょくちょく作画が不安定なカットが見られました。男性キャラクターであるマネージャーが崩れるのは別に構わないのですが、アイドルたちの作画は死守して欲しかったです。
テレビシリーズならともかくこれは劇場版ですよ?
特に終盤の重要なシーンでの作画崩れはいただけません。
具体的には、それまでマネージャーの勧誘をひたすら断り続けてきた真夢さんがついにメンバーに入る!という重要な場面でいくら手前側の真夢さんにカメラのピントが合っているとはいえ後ろに少しぼやけている他のメンバーの作画が崩れていたのを見た時には「ここで作画崩れは勘弁してよー……」と頭を抱えたくなりました。
多少ぼやけていてもスクリーンのような大画面で見ていたら普通に分かります。何度も言うようですがこれは劇場版アニメなのでそこで手を抜いてほしくはなかった。
また、その他にもその少し前の緊迫した話し合いのシーンでメンバーの顔の作画が崩れていたところでもおいおい、と感じました。
作画についてはライブシーンも言いたいことがあるのですが、それについてはライブシーンの話として分けたいのでまたあとで。
(2)シナリオ
アイドルアニメにおけるシナリオの出来は、ぶっちゃけた話そこまで高度である必要はないと思っています。もちろん破綻しない程度の出来である必要はあるのですが、究極的にはキャラの顔が覚えられて、感情移入や可愛さを感じられればベタで陳腐な内容でも全く問題はありません。
それにこの話はあくまでも本編の前日譚です。たとえ解決されない伏線があったからといって、それを責めるのは流石に間違っているというものでしょう。
その上で言います。もう少しシナリオどうにかならなかったの?
具体的には真夢さんが加入するまでの流れと最後の終わらせ方が。
まず前者。具体的な内容こそ明かされないものの過去アイドル活動をしていた時に何らかの出来事があり半ば追い出されるような形で芸能界を去ったことが作中でほのめかされます。
その過程で心に大きな傷を負ったため何度しつこくマネージャーが勧誘してもうなずかなかったのは自然な流れでしょう。そこまではいいんです。
問題はそこから加入への流れ。あれだけ引きずっておきながらあんなにあっさりその心を翻した流れがいくらなんでもあっさりしすぎていると思います。
お前の心の傷はその程度だったの?と。
次に後者ですが、ライブシーンからスタッフロールへの流れはいいでしょう。実に無難です。
問題はその後。マネージャーが
「俺達の明日はどっちだ!!」
と言って締めるシーンです。確かに状況としてはその通りです。お金を社長に持ち逃げされた負債は解決してませんし、アイドルとしてもほぼ客がいない状態からのスタート。今後の活動すらおぼつかない。確かに状況自体は明日はどっちだ、です。
でもそれってキャラクターに言わせちゃダメじゃない?
とってつけた台詞感がすごくて非常に自然じゃありませんでしたし、この台詞でドッチラケになってしまった感は否めないと思います。せっかくライブシーンとメンバーの笑顔でいい感じになってたのに。
例えば同じようなことを言わせるのでも、
「俺達の明日はどうなるかわからない。それでも、この娘達の輝きを信じてみたい。がんばっぺ!Wake Up, Girls!」
みたいなことを言わせるだけでだいぶいい感じになったと思います。
大きなところとしてはこの辺ですが、シナリオやセリフ回しについては他にも言いたいことがあります。
例えば「あなたたち、処女?」やWake Up,Girls!というユニット名が近所のラブホと名前が被っているという点など、品のないギャグが多かったこと。アイドル物でこれはどうなの?本当に必要だった?
また、「がんばっぺ」という方言の掛け声を使うにもかかわらずキャラクターたちが方言を全く喋っていなかったことも。別に全編東北弁でやれとはいいませんが(そんなことしたら標準語字幕が必要になりそうですね)多少は、それこそメンバーの1人が東北弁っぽい言葉、くらいでいいので方言描写を入れておかないとあの場面での「がんばっぺ」には違和感しかありません。お前らなんで取ってつけたように使ってもなかった東北弁使ってるの?みたいな。
あとは曲を作ってくれた社長の旧知のアーティストであるTwincleについてももう少し説明があっても良かったのではないかと思いますし、社長が夜逃げする過程についても正直もう少し細かく描いても良かったのでは?と思いますがまあ社長の夜逃げについては本編で明かされることなのかもしれませんね。
ここまで書いて総合的に述べると「取ってつけた感」がとれていないセリフ回しや展開が多い、という感じでしょうか。ええ。
(3)ライブシーン
私だってこの項目を悪い方には入れたくなかったよ…動画枚数7000枚とか言われて正直期待してたもの…。
しかしそれでも今回のこれに関してはこちらへ入れざるを得ません。その理由は大きく分けて2つ。
(1)作画
作画のところでも言いかけましたが、ライブシーンで作画崩れるのは本当にやめて。
アイドルアニメの最大の見せ場はやはりライブシーンです。日常での可愛さも重要ではありますが、それ以上に彼女たちが輝くのはステージの上なのですから。
それだけにそこで作画崩れ持ってこられると「それはないだろー!」と言いたくなってしまいます。特に今回のライブシーンはワンコーラスだけだったのですから、その間くらいは作画を保っていて欲しかった…。
一番酷かったところはカメラがちょっと遠目になったシーンだったのですが多少カメラ遠ざかってても作画崩れてたら普通に分かりますからね?何度でも言いますが、家のテレビならともかく私達が見ている場所は劇場の超巨大スクリーンなんですから。
あとこれは相対的なものなのですがそれまでのシーンの作画が良くない&そんなに動画枚数使ってなかったのにライブシーンでいきなりヌルッヌル動き出すのにはちょっと笑いました。ここあまり落差激しくしすぎてもダメでしょう…w
(2)ぱんつ
アイドルにパンチラはNG!ふざけんな!みたいなこと言ってる方もいましたが、別に自分はそこまで言う気はありません。そもそも今回のパンチラ自体はシナリオ上で明確に理由付けをされていましたからパンチラを持ってくる事自体には問題は全くないと思っています。
しかし、意図的にぱんつ見せたいだけのカメラワークがあったのはいただけません。
パンチラなかったらそのカメラワークには絶対にしないよね?みたいなカメラワークを持ってくるせいで単純にカットとしてあまり良くなかったと思います。
パンチラをさせるのであれば踊らせながらあくまでも自然に。
目を皿のようにしている視聴者が「あ!!今パンチラしたー!パンチラしたぞー!!」となるようなくらいでちょうどいいのです。あからさまにそこでパンモロ狙ったカメラワークに持っていくのはただ品がないだけで侘び寂びの心に欠けていると私は思います。
これらの要因から、私は今回のライブシーンについては決して褒められる出来ではないと思います。特に何度も言いますが作画崩れは本当に酷かった。ライブシーンでそれは絶対にアイドルアニメとしてやっちゃいけないことです。
さて、良かった点と悪かった点はこんなところでしょうか。
これを踏まえてまとめに入りたいと思います。
・総評
まず最初に、仙台を舞台とする上でしっかりとしたロケハンを行ったことを感じさせる背景美術のいい仕事ぶりを褒めたいと思います。また、劇伴および作中楽曲も流石と言わざるを得ない出来でした。
メインキャストも声優初挑戦としては十分頑張っていると言えるレベルの演技をしていました。今後の成長を楽しみにしています。
また、ここまで書きませんでしたが見る前に危惧していた「キャラの髪色が似てるし見分けつかないのでは?」という問題もキャラクター性がそれぞれ特徴あるおかげで杞憂に終わって安心しました。名前はまだ全員は覚えられてませんが、なにせ一時間未満ですからそれは仕方ない。
ただ、作品として全面的に破綻してはいないもののアイドルアニメとして、また物語として単純にこれはどうなんだ?と首を捻る部分が(展開的にも作画的にも)多く見られました。
特にライブシーンでの作画崩れやパンツについては正直ライブシーン見ながらスマホをスクリーンにぶん投げたくなったレベルで怒りがこみ上げてきました。
一番の見せ場で作画クオリティを保ってもらえないというのは何より劇中の彼女たちがかわいそうでならないですし、アイドルアニメとして最低限押さえるべき部分も押さえられていないということでもあります。
そして、ここまでに挙げたところを合わせて一言で述べると冒頭で述べた「アイドルアニメ舐めんのもいい加減にしろよクソ」となります。
「動画枚数7000枚のライブシーン」「ドルヲタとして知られる監督が『遺言』とまで言い切り満を持して送り出すアイドルアニメ」としては正直お粗末なものでしたし、個人的なことを言えば「頭に異常があるんじゃないですか(笑)」なんてリプライを私に送ってくるようなことしてる暇があったらクオリティの底上げに努めて欲しかった、というのが正直なところでもあります。
私の感想はこんなところです。この物語はあくまでも前日譚、これから始まる本編がこの劇場版で積んだ全てを決定づけると言っても過言ではないと私は思っていますので、是非スタッフとキャストの皆様にはぜひとも本編でも頑張っていただきたいところですね。